家賃が無料!?賃貸の初期費用を抑えるなら「フリーレント物件」おすすめ?

不動産業界にとって、入居時期が3月という賃貸契約は、1年で最も多い契約だと言えます。続いて9月。これは会社の異動時期でもあるので、法人での契約が多く、1年で2番目に契約の多い時期です。

そんな時期に不動産会社のCMや広告などで

「家賃1ヶ月無料!」

「フリーレント物件多数取り扱い!」

と、大々的にうたっているものを見かけることが多くないですか?

フリーレントとは、CMや広告で例をあげたように、家賃が一定期間無料になるサービスのことです。その期間は不動産業者や物件によっても様々ですが、居住用物件では【日割り家賃~3ヶ月程度】家賃無料のサービスを受けられる場合があります。

ではなぜ、この様なサービスを受けることが出来るのでしょうか?

そして、もしフリーレント物件を契約したとして、デメリットなど無いのでしょうか?

知らないと不安になりますよね。

でもフリーレントの仕組みを理解すれば、何も不安なことはありません。むしろ自分の条件に合えば、初期費用を抑えて入居することができるので、とてもお得になります。

ではまず、何故フリーレント物件というものが存在するのでしょうか?

フリーレント物件があるのは何故?

◎まず比較的よくあるケースをご紹介します。

当然のことですが、その部屋や建物の持ち主である【家主】は、家賃収入を見込んで生計を立てています。

ざっくりとした例を挙げると、家賃5万円の部屋が10部屋あるアパートを所有している場合、満室の場合は家賃収入が50万円あることになります。

《※(注)管理料など、家主が管理会社等に支払う金銭は考えていません。》

そしてほとんどの家主が、アパートを建てた時の工事代金は家賃収入から銀行へ返済することを考えているでしょう。

人によって、それぞれですが、銀行への返済が毎月25万円あるとしたら、25万円が家賃収入となるわけです。

5万円×10部屋-25万円=25万円(家賃収入=生活費)

しかし、10部屋のうち2部屋空き部屋があれば、当然2部屋分の収入が無くなるわけです。

5万円×8部屋-25万円=15万円

月に10万円も収入が減ってしまいます。

空き部屋の状態が続けば、その分だけ収入減の状態が続きます。そこで一刻も早く入居者をつけて、家賃収入を得たいところです。

家賃を下げれば入居者がつくかもしれません。しかし家賃を下げて入居して貰っても、家賃収入が下がってしまいます。

家賃を1,000円下げたとしても、年間で考えると、12,000円も収入が減ります。

更に、現在入居している人が、自分の部屋より隣の部屋の家賃が低い…ということが分かったら、家賃の値下げを要求してくる可能性もあります。

そこでフリーレント物件として、一定の期間家賃を無料にして、家賃を下げずに入居してもらうのです。

フリーレントの対象期間は『空き家だった』と考えてしまえば、確実に次の月からは家賃の収入が見込めます。これは家主にとって家賃収入が確実になるので、ありがたい話ですよね。そして周りの部屋とも家賃の釣り合いが取れるのです。

これがフリーレントの仕組みで最も多いパターンです。

◎次に、先に述べたケースよりは少ないですが、不動産会社の営業担当が利用するケースもあります。

不動産営業の担当者は、【営業】という職種のため、その月の売上がとても重要になります。

その月の営業成績が悪ければ、何としてでもその月の契約がとりたいですよね。

お客様が契約を迷っているときに、最終手段として【決め手】を提示するのです。

「○○までに契約していただけたら、家賃1ヶ月分無料にします。」

お客様がいくつかの部屋を迷っている時、差がほとんどないとすれば、『本来払わなければいけない家賃を払わなくてもいい!』となれば、とてもお得に感じませんか?

不動産営業の担当者の成績は、契約件数だけではなく、私たちが良く耳にする【仲介手数料】の金額も追加されてカウントすることが殆どなので、担当者は、仲介手数料は安易には割引しません。

仲介手数料を減らすことなく、家主との交渉でフリーレントを使用する。それでお客様との契約がもらえれば営業担当にとっても、これから確実に家賃収入が見込めることになる家主にとっても、双方いい方向で話がまとまります。

フリーレント物件とは、この2つのパターンがあると考えられます。

どういう部屋がフリーレント物件の対象になりやすいの?

前に述べたように、営業の担当者が契約を取りたいからフリーレントをつける!という以外は、大体が【客付けしにくい部屋】がフリーレントの対象となることが多いです。

【客付けしにくい部屋】とは、理由は様々ですが【長く空いている部屋】や【これから長期で空くだろうと予想される部屋】です。

《空き家になりやすい部屋》

・交通の便が悪い

・まわりに買い物できるところが少ない

・騒音が酷い

・日当たりが悪い

・使いにくい間取りである

など、上記のような理由で借り手がない部屋は多いです。

しかし設定家賃を視野に入れて考えたときに、その部屋の条件が【自分の許容範囲】であれば、何も問題はありません。そこは営業担当者にハッキリ聞くべきです。

また、フリーレントがついている部屋は、上の様な理由だけではありません。

『学生向け・単身向けのアパートだったため、3月末に一気に空き家が増えた』

このような理由の場合もあります。

これも営業担当者と話をしてみるといいと思います。

フリーレント物件はお得なの?デメリットはないの?

フリーレントの仕組み等について書いてきましたが、『結局フリーレント物件ってお得なの?どうなの?』という疑問が浮かんでくると思います。

私の意見を述べると

【自分の条件に合えば、とてもお得だと思う】

ということです。

皆さんは、お部屋を借りる場合、どの位の契約金が掛かるかご存知ですか?

地域によっても不動産会社、管理会社によっても、掛かる費用は様々ですが、全国に支店のある大手の不動産会社を例にとってお話をさせていただきたいと思います。(会社名は伏せます)

下記の例は、不動産会社が家主に入居者を紹介する【仲介】という形をご紹介しています。一番多い契約の形です。

家賃 50,000円(管理費等込み)の1K

駐車場 3,000円

敷金  1ヶ月

上記の部屋を契約する際を考えてみます。

敷金1ヶ月 50,000円

部屋前家賃 50,000円

駐車場前家賃 3,000円

(月の途中から入居するなら、日割り家賃も必要)

仲介手数料 57,240円(部屋家賃+駐車場1ヶ月+消費税)

火災保険料 10,000円(1年間)

鍵交換費       0円

合計 170,240円

上記に述べた程度の契約時金が必要になります。

その建物の管理会社によって、鍵交換費が必要になる部屋も多いです。

その際は大体10,000円~20,000円ほどになります。別途、礼金が必要な部屋もあるでしょう。礼金は家賃の1か月分なので、更にプラス50,000円…。

契約するだけで、かなりの金額が必要です。ですが、この場合は鍵交換代と礼金は考えません。

自分の気に入った部屋がフリーレント対象の物件で、家賃が1ヶ月無料になるとしたら

170,240円-(部屋家賃50,000円+駐車場家賃3,000円)

=117,240円

すごくお得になりますよね。

自分の目で見て、気に入った部屋がフリーレントの対象物件となっていたらラッキーだと思っていいと思います。

先に私は【自分の条件に合えば】と述べたと思いますが、【条件に合わなかったとき】とは、どういう時でしょうか。

フリーレントのサービスを使って、家賃が無料の間だけ入居する。無料の期間が終われば退去する…ということが勝手に出来てしまえば、家主にとってメリットが全くありません。

そこでフリーレントを使用する際の約束事が必ずあります。

1ヶ月間家賃無料のサービスを受けたら、【6ヶ月以内に退去する場合は違約金として、家賃1ヶ月分(○○円)を支払わなければならない】という文言が重要事項説明書・賃貸借契約書に明記されているはずです。退去までの期間と違約金の金額は、その不動産会社によって違いますが、一般的には【6ヶ月以内の退去は違約金家賃1ヶ月】が多いです。

「違約金が発生するの~?」

と思われるかもしれませんが、必ず契約前に【宅地建物取引士】という資格をもった人が重要事項の説明をしますので、納得がいくまで説明を受けてください。

その後、問題なければ契約という流れになりますので、

「違約金なんて聞いてない!」ということは、起こらないと思います。

一度住んだら、当分は引っ越す予定はないといわれる人でしたら、フリーレントはとてもお得だと思います。

そして前の項目でも述べましたが、フリーレント対象の物件は【客付けしにくい部屋】が多いと書きました。ですので、『なぜその部屋がフリーレント対象になっているのか』を理解した上で、契約されることをオススメします。

また、ごくごく稀なケースですが、フリーレントサービスをつける代わりに、家賃を少し上乗せする家主も居ます。

例えば家賃5万円の部屋だと、1年間で60万円の収入がある予定になります。

1ヶ月フリーレントを使用すると、1年間で55万円。

当初の予定の60万円に近づけるために、5万円の家賃を5.4万円にしてしまうというようなものです。これは本当にごく稀なケースなので、他の部屋との家賃の差を調べてみるのもいいかもしれません。

まとめ

フリーレント物件を契約する際は、自分の条件に合えばお得と言えます。

その際は、以下の点に注意しましょう。

①居住期間の確認

すぐ退去…ということになれば、違約金を払うことになってしまうので、しっかり期間を確認しましょう。

②空き家期間とその理由の確認

どれ位その部屋が空いていたのか、またなぜそれ程の期間空き家だったのかを確認しましょう。

③周りの部屋と家賃の差がないかの確認

稀に家賃を上乗せしている場合があるので、他の部屋と家賃の差がないか確認しましょう。

新生活を始めることは、ウキウキするものです。

しかし目先の利益にとらわれて慌てて契約したりすると、あとで後悔することになります。しっかり契約内容を確認し、理解した上で受けるサービスならば、とてもお得だと思いますし、楽しい新生活が送れると思います。

この記事が少しでも新生活をする上で、役に立つといいなと思います。

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